NHKのEテレ売却案と鬼滅コラボの影響値 【カフマンラボ】
宙づりの改革案
NHKが受信料の徴収をさらに強化する方針だという。総務省の有識者会議(公共放送の在り方に関する検討分科会)は11月19日、テレビを持っているのに受信契約に応じない世帯に「割増金」、いわば“罰金”を課す方針を打ち出した。来年1月の通常国会に提出する放送法改正案に盛り込む方針だ。今後、未契約者が契約を結ぶ際に、過去の分まで遡って割り増し料金を払わせる仕組みになる。
いま若い世代を中心にテレビを持たない人が多く、すでに映像はスマホやタブレットで見る時代になっている。これから、どんどんその傾向は強くなっていきます。そうした時代にあって、NHKが経営資源を無駄にしているのがEテレです。全国放送で広い周波数帯を使い、同じ時間帯に原則1番組しか放送できないのに、視聴率が低い。電波という公共資源が有効活用されていない。
そこでEテレのチャンネル(周波数帯)を売却して携帯(通信)用に利用すれば、通話だけではなく、もっと多種多様の映像コンテンツを同時に配信できる。Eテレが占有していた電波の一部を政府のデジタル庁が使えば、確定申告などのサービスにも利用できる。
片手落ちを突く視聴者・有権者
NHKはEテレにはいい番組があるというかもしれないが、それなら政府がそれを買って配信すればいい。NHKは国会の予算委員会の一部だけテレビ中継しているが、国はすでに国会中継を全部ネットでライブ配信しているわけです。
これほど技術革新が進んでいるのに、視聴率が低い番組をわざわざ電波を占有して放送する発想は時代錯誤。Eテレの電波を通信に再分配したほうが公共のためになるし、NHKの膨張にも歯止めをかけることができる」(高橋氏)
携帯電話システムには500MHz~1GHzの周波数帯が使いやすいとされ、とくに「700MHz~900MHz」は電波がより遠くまで届くプラチナバンドと呼ばれる。
現在、このプラチナバンドに近い「470MHz~710MHz」の周波数帯をNHKと民放の地デジ放送が40チャンネルに分割して利用している。テレビ局で地上波を2チャンネル持っているのはNHKだけ。それを半分に“解体”するプランだ。
「Eテレの電波を売却すれば、NHKの地上波は2チャンネル体制から総合テレビのみの1チャンネル体制になる。チャンネルが半分になるのだから、受信料も半額。地上波契約は月額1275円から600円くらいに値下げをしないと国民は納得しないでしょう。
世界では利用度の低い周波数帯を政府が買い上げて、使いたい企業に売る電波オークションが行なわれている。欧米のケースを見ると、日本でも通信に利用しやすい地デジの電波をオークションにかければ数千億円で売れる可能性がある。
売ったお金はNHKに渡せばいい。数千億円が入れば税金を使わずに受信料の引き下げが可能になり、経営スリム化の資金にもなる」(高橋氏)
タカラトミーは12月3日、人気漫画「鬼滅の刃」と、着せ替え人形「リカちゃん」のコラボレーションドール2種を2021年5月に発売すると発表した。全国の玩具専門店、百貨店・量販店の玩具売り場、インターネットショップなどで販売する。
発売するのは、鬼滅の刃に登場する竈門禰豆子(禰は、ネ+爾が正しい表記)の衣装を着たリカちゃんと、竈門炭治郎をイメージした、リカちゃんのボーイフレンド「はるとくん」の2種類。希望小売価格はいずれも9000円(税別)。 タカラトミーによると、衣装やヘアスタイルにこだわり「鬼滅の刃ファンの方にも愛される人形を目指した」(同社)という。羽織や着物の素材を工夫し、衣装の色味やデザインは鬼滅の刃を再現。衣装のシルエットは、人形が身に着けたときバランス良く見えるサイズ感で調整したという。刀の塗装や使用する素材の兼ね合いから、対象年齢15歳以上の商品として展開する。
着せ替え遊びや衣装の素材感など「リカちゃん」ならではの楽しみ方を提案できるように工夫した。羽織や着物、帯、隊服も上下にパーツを分け、衣装を細かく、簡単に着せ替えができる仕様とした。
「鬼滅の刃」は、現在公開中の映画が公開1カ月を待たずに興行収入200億円を突破するなど、幅広い層に絶大的な支持を受けている作品。
タカラトミーは近年、大人でも楽しめるリカちゃんとして、トレンドを意識した衣装や、大手アパレル企業や外食チェーンなどとのコラボ商品の展開に力を入れている。広報担当者は「リカちゃんは発売から50年以上が経過し、幅広い年代に親しまれている。『鬼滅の刃』とのコラボでより多くの層に親しんでもらえたら」と経緯を説明する。
テレビアニメ「鬼滅の刃」や、新海誠監督の「天気の子」など、ヒット作に恵まれたアニメ業界。帝国データバンクが発表したアニメ制作業界の動向調査によると、2019年(1~12月期決算)の市場規模(273社の事業者売上高ベース)は2427億4900万円となり、9年連続で過去最高を更新した。
一方、前年からの伸び率は0.5%の増加にとどまり、増加率は11年以降で過去最低を記録。2010年代に入りアニメ制作業界では急速に事業内容や規模の拡大が続いたが、19年は成長ペースが急減速した。
1社あたりの平均売上高は8億9900万円(前年比4.2%増)で、ピーク時(07年、約10億円)の約9割となった。前年比で「増収」となった企業は38.0%を占め、「減収」(22.4%)を大きく上回った。損益面では「増益」の構成比は52.2%だった。18年(48.8%)を上回ったほか、2年連続で前年から増加した。
各社ともアニメ作品を中心に制作量を確保し、劇場版アニメも好調だった。また、アニメ制作に多額の費用がかかる点が認知され、適切な制作費を交渉し、単価引き上げを確保できたケースが出始めたほか、中国など海外の動画配信大手からの大型案件受注などで、大幅に業績を向上させた企業もあり、業界全体の底上げにもつながった。
しかし、人件費や最新設備などへの設備投資負担、外注量の増大によるコストの上昇が多くの企業でみられ、利益面での押し下げ要因となった
制作態様別にみると、下請けとなる専門スタジオでは平均売上高が3億3700万円(同5.8%増)で、3年連続で増加した。「赤字」は17.2%で、過去10年間で2番目に低い水準となった。総じて受注量が多く、人材の採用や育成の効果として自社の受注消化能力が向上し、売り上げが増加した企業も多くみられた。ただ、受注増に対応するため、アニメーターの積極採用や外注増加などがみられるほか、設備投資によるコスト負担増がみられる。一方で、利幅の厚い案件の選別傾向がみられ始めているほか、デジタル化の進展に伴い、絵コンテやレイアウト用紙の経費削減が可能になり増益を確保したケースもあった。また19年の倒産・休廃業・解散社数では、倒産が2社、休廃業・解散が1社の計3社で、過去最多の18年(計12社)から大きく減少した。人件費の高騰や、下請け業者などへの支払い費用増大で採算割れが常態化し、資金繰りが行き詰まったケースが多い。近年では、所属するアニメーターへの報酬未払い・遅延などが頻発した末に倒産した制作会社が目立っているという。
現在アニメ制作業界でも新型コロナウイルス感染防止対策として、原画作業やアフレコなどをテレワークに切り替える動きが進んでいる。しかし、制作スケジュールの遅延による新作アニメの放映延期や、コストアップといった副作用も発生しているという。20年のアニメ制作市場は拡大傾向から一転して、10年ぶりの規模縮小となる可能性もあり、引き続き動向が注視される。
調査は、帝国データバンクがアニメ制作企業273社を対象に実施した。