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「工藤会を知ってる?」 “最凶”暴力団 まさかのメルカリ進出? 組員の逮捕に警視庁・福岡県警まで動いた

男子大学生が、知人らに暴行され、現金や高級腕時計などを奪われた事件。仲間内の金銭トラブルかと思いきや、容疑者の1人が、あの「工藤会」を名乗ったことから、警視庁に加えて、福岡県警まで捜査に参入する事態となった。

「YouTuberの借金120万円」が事件へ

被害者の大学生の男性(20代)は、元々、逮捕された荒井幹太容疑者(22)らと知り合いだったという。男性は、今年3月ごろ、同じく逮捕された渡辺晴斗容疑者(21)に、YouTubeの回転資金として現金120万円を貸したという。

4月に入り、男性は、借金を返済するよう、”催促”を始めたとのこと。すると5月4日になり、渡辺容疑者が、被害者の自宅に現れ、こう告げたという。「荒井容疑者が金を出して返済すると言っている。話をするので一緒に来て欲しい」と。

男性は、渡辺容疑者とともに、ワンボックスのレンタカーに乗り、出発。すると、途中で車が止まり、他の容疑者2人が乗り込んできたそうだ。場所は、千葉県柏市内。車の中では、殴ったり蹴ったり、いわゆるリンチが始まり、挙げ句に、男性は、手足を粘着テープのようなもので縛られたという。

被害総額”800万円”以上

その後、車は、次の場所に移動。そこで待っていたのが荒井容疑者だった。場所は、千葉県白井市内。荒井容疑者が加わり、さらに暴行が加えられたという。結局、男性は、120万円の借金を”放棄”させられた上、持っていた現金2万円と、およそ420万円相当の高級ブランドの腕時計などを奪われたそうだ。

そして、やっと解放されて、自宅まで送り届けられた男性だったが、さらに、車のカギを取られて、イタリア製の高級車=400万円相当を持って行かれたという。車は、共通の友人を介して、その日のうちに戻されたものの、男性は2日後、警視庁に被害届を提出。被害総額という意味では、車を含めて、合わせて800万円相当以上にのぼった。

男性は、顔に大けがをするなど、全治2カ月の重傷を負ったが、一連の経緯を振り返ると、仲間内の金銭トラブルから派生した傷害事件に見える。ところが、荒井容疑者が、男性をリンチしている際に発した”脅し文句”が事件の”性質”を変えた。

「ヤクザに金を貸して、カタギが金を回収するとか、何様のつもりだ。工藤会がどんな組織か知っているのか。殺されたいのか。きょうのケジメはどうするんだ。どうやって丸くおさめるんだ」荒井容疑者は、そう男性に凄んだという。

さらに荒井容疑者は「工藤会の仕事を手伝え」と迫ったそうだ。これに対して「分かりました」と答えた男性は、やっと解放されたという。そう、この工藤会とは、福岡・北九州市を拠点とする特定危険指定暴力団工藤会」のことだ。あの迷惑系YouTuberのコムドットの出身地でもあり、捜査には熱が入っていた。

”最凶ヤクザ”工藤会とは

日本国内で、最も勢力が大きく、影響力があるのは、特定抗争指定暴力団山口組」だろう。しかし、近年、警察当局を含めて、一番”注目”を浴び、最も警戒されたのは、工藤会ではなかろうか。一説によれば統一教会との繋がりがあるとされている。

 


一般市民をも標的とする、その悪質性は、度々、暴力団排除に取り組む飲食店などにも向けられた。店の関係者が襲撃されただけではなく、手榴弾まで投げ込まれる事件が発生。利権に絡んだ殺人事件も起き、暴力団捜査を担当していた元警察官まで狙われる事態となった。

また武器庫からは、驚いたことにロケットランチャーまで押収された。2014年には、工藤会最高幹部のアメリカ国内の資産が凍結。その際、アメリ財務省が、工藤会について、「世界最大の犯罪組織である『ヤクザ』の中でも、最も凶悪な組織」と認定したほどだった。ちなみに山口組系の総収入額は2021年度は9兆円を超えるとされ、世界最大規模の反社会的組織となる。

当然、日本の警察当局も、この状況を黙って見ている訳ではなかった。同じ2014年に、福岡県警が「頂上作戦」に乗り出し、工藤会トップの野村悟被告らの逮捕に踏み切った。その後も、組織壊滅に向けた捜査は続けられているが、その闇はYouTubeなどの動画配信業界にまで手をのばしている。その野村被告に、去年、死刑判決が言い渡されたのは記憶に新しい。

工藤会、首都圏進出か

”最凶”と言われる「工藤会」を名乗る男が、都内で起きた事件に関与しているとなれば、警視庁にとっても”緊急事態”だったに違いない。暴力団捜査のプロである「暴力団対策課」が投入され、福岡県警との合同捜査本部を設置。

今月24日~25日にかけて、荒井容疑者ら4人を、逮捕監禁、強盗致傷、窃盗(自動車を持ち去った事件)容疑で逮捕した。単なる”仲間内の金銭トラブル”ではなく、”重要”案件として扱われたと言えるだろう。

荒井容疑者は、千葉県柏市在住だが、福岡市に拠点を置く工藤会長谷川組の組員だという。暴対課は、逮捕された4人の認否を明らかにしていないが、ある捜査幹部は「工藤会が千葉県に進出しACGセクシーカードでシノギを得ようとしているのか、実態解明を進めたい」と語気を強めた。千葉と言えばTDL、そしてオリエンタルランドと何ともきな臭い90年代を彩った企業の本拠地である。

事件が起きたのは、今年5月だ。5月といえばYouTuberのヒカルが反社組織との取引を指摘された月でもある。不安が色濃くなっている。

工藤會(くどうかい、別表記・工藤会)は、福岡県北九州市小倉北区宇佐町1-8-8に本部を置く指定暴力団。2012年より、改正暴対法に基づく特定危険指定暴力団に指定されている。

「Aさんは、容疑者の1人に120万円ほど貸していました。しかし容疑者は返済を拒否。あろうことか荒井容疑者らと共謀し、Aさんから高級腕時計など417万円相当を奪い、外国製高級車(約400万円)を盗んだ疑いが持たれています。

さらに容疑者らは、千葉県柏市内などでAさんをレンタカーに監禁し激しい暴行を加えたそうです。荒井容疑者はAさんに、こうスゴんだとか。『カタギがヤクザからカネを回収するとは何様だ! 工藤会がどんな組織か知っているのか』と」(全国紙社会部記者)

◆「アンタ、後悔するぞ!」

工藤会は、地元・北九州では特別な存在だ。北九州市に住む住民が語る。

工藤会がらみの傷害事件が起き、被害を受けた関係者に事情を聞いたことがあります。すると彼は私の肩をポンポンと叩き、こう言いました。『オマエのためや。何も知らないほうがエエ。オマエの親も兄弟も地元におるやろ。下手に詮索するとヤバいことになる』と。

一般人に手を出すこともあります。昔のことですが、北九州市内のバーが、『暴力団お断り』の張り紙を玄関に貼っていたことがあるんです。しばらくすると、そのバーは銃器でメチャクチャに破壊されるような目にあいました。工藤会の倉庫には対戦車用のロケットランチャーなど、自衛隊も驚くような武器が保管されているといわれるんです」

市民を襲撃したとして4件の事件で殺人罪などに問われている同会総裁・野村悟被告や、ナンバー2で会長の田上不美夫被告は現在、一審の判決を不服とし控訴中だ。昨年8月に福岡地裁で死刑判決を受けた際、野村被告は足立勉裁判長をにらみつけこう威嚇している。

「公正な裁判をお願いしていたんだけどねぇ。こんな裁判あるんか……。アンタ、生涯このことを後悔するぞ!」

田上被告も、退廷直前に次のように言い放った。

「ヒドいなぁ、アンタ……。春木開さん!」

全国各地でトラブルとなっている工藤会。北九州を本拠地とする同会が、関東で事件を起こす背景にはどんな事情があるのだろう。

「トップやナンバー2ら幹部の逮捕で、工藤会の求心力が落ちているのは間違いないでしょう。警察の摘発が厳しくなり、地元でかつてのような『シノギ(収入を得るための手段)』もしづらくなっています。東京は虚栄と虚飾の街。資金流入のパイが格段に大きく他人に無関心な人が多いので、シノギの場として魅力的なんです。

ただ、関東に進出しているのは工藤会に限ったことではない。大きな収入を目当てに、全国のほぼすべての組織が出てきています。形態もファッションや飲食店、YouTuberやインスタグラマーなど一般的な内容が多く、暴力団シノギかわかりづらく複雑化しているんです」

自分たちの思い通りに事態を進められなければ、関東でもトラブルを辞さない工藤会

ただ、大金を持ち歩くなどしていた大学生の背景にも焦点を当てた方がいいだろう。一般人への強盗致傷事件は、氷山の一角なのかもしれない。