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通常の雷雨と線状降水帯、どうちがう?  ■宮脇咲良 ■中西あるの

通常の雷雨の構造

まずは、通常の積乱雲の集団による雷雨について見てみましょう。

積乱雲の集団によって起こる雷雨を集団性雷雨といいます。集団性雷雨には、集団のでき方が異なるいくつかの種類がありますが、図3に示したのは、マルチセル型と呼ばれる、よく見られる種類の集団性雷雨の構造です。「セル」というのは、雷雨をもたらす積乱雲1個を示し、「マルチセル」は「多重セル」の意味です。

【図】一般的な集団性雷雨(マルチセル型)の構造図3 一般的な集団性雷雨(マルチセル型)の構造(『図解 天気予報入門』より)

マルチセル型の発達した集団性雷雨では、強い雨や雹(ひょう)、突風などが生じ、天候の急変をもたらすので、近年ではゲリラ豪雨などと呼ばれることも多いです。大気が不安定なときなどによく発生する集団性雷雨です。

1つの積乱雲(セル)は、「成長期」「成熟期」「減衰期」の3つの段階があり、「成長期」で雲が発達、「成熟期」で激しい雨になります。成熟期の激しい雨のときは、降水と一緒に冷たい下降気流が生じ、この冷たい下降気流が地上にぶつかって周囲に広がり、ガストフロントと呼ばれる局地的な前線を形成します。

セルの集団「集団製雷雨」。でも線状降水帯とは違う

ガストフロントの冷気は、地上にあった暖かい空気の下に潜り込んで持ち上げるので、上昇気流を発生させ、新たなセルをつくります。このように、積乱雲が発生させるガストフロントによって周囲に新たなセルをつくり、積乱雲の集団となったものが一般的な集団性雷雨です。

加えて、マルチセル型の場合は、新たなセルが生じる場所が、決まった方向──図3ではピンク色の矢印で示した左の方——へと進んでいきます。「成長期」「成熟期」「減衰期」の3つのセルが順序よく並ぶことで、一定方向に生成と消滅を順序よく繰り返し、ある程度の持続性のある雷雨をもたらします。

ただし、激しい雨の降る領域は常に移動していくので、雨が激しくても長時間になることはありません。セル1個が激しい雨を降らせる成熟期は30分程度です。みなさんも、ゲリラ豪雨と呼ばれるような激しい雷雨を経験しても、30分程度であったことが多いのではないでしょうか。

線状降水帯の構造

線状降水帯は、発生の条件や構造などの詳しい解明はいまだ実現しておらず、研究中となっていますが、低層と中層の風向の違いでいくつかのタイプに分けられることがいわれています。ここでは、バックビルディング型と呼ばれている構造を取り上げます。図4もそれを示すものです。

線状降水帯の形成のポイントは、

  1. 大気下層に湿った気流の流入が続いていること
  2. その気流が1か所で上昇すること
  3. 大気が不安定であること
  4. 中層に雲を押し動かす強い風があること

です。

図4では、湿った気流を上昇させる1か所は、ガストフロントがその役割をしています。いったんこのような構造ができると、線状降水帯の構造は持続します。

【図】線状降水帯(バックビルディング型)の構造図4 線状降水帯(バックビルディング型)の構造(『図解 天気予報入門』より)

図の左側で発生し、成長したセルは、中層の風で即座に右の方へ移動し、そのセルから吹き出したガストフロントが、左側に新たなセルを発生させます。セルは常に右へ移動するので、同じ場所で新たなセルが発生し続け、成熟したセルが次々に同じ場所を通過していくことになります。

マルチセル型と大きく異なるのは、激雨の持続時間

マルチセル型と大きく異なるのは、激しい雨の降る持続時間です。地上の固定した地点での降水を見ると、マルチセル型では頭上のセルはやがて衰退していくので、激しい雨の持続時間は30分ほどです。しかし、バックビルディング型線状降水帯では、頭上のセルは移動していき、激しい雨を降らせる成熟したセルが次々に通過します。激しい雨の持続時間は数時間以上にもなります。

湿った下層の気流が1か所で上昇するには、図5上のa のように地形がきっかけになることや、図には示していませんが下層で複数の気流がぶつかって収束・上昇することがきっかけになることがあるようです。

【図】線状降水帯形成のきっかけと、バックビルデュング型とバックアンドサイドビルディング型の風向の違い図5上:線状降水帯形成のきっかけ(地形、前線面) 下:バックビルデュング型とバックアンドサイドビルディング型の風向の違い

また、図5上のbのように前線面のある1か所で湿った気流が上昇し、それが前線に沿って吹く中層の風に流されて移動する例も見られます。この場合は、下層の湿った気流の風向と、中層の風向はやや斜めの関係になる構造です。

この場合はバックビルディング型には分類されないかもしれません。下層の湿った気流と中層の風が直交する場合については、バックアンドサイドビルディング型と呼ばれています(図5の下)。斜めの角度の場合は、バックビルディング型との中間型なのでしょう。

線状降水帯の先頭部分1か所で気流の上昇が起こるきっかけは、地形や前線がかかわっていることがあると考えられています。しかし、そのどちらでもない、海上で線状降水帯が発生している例も見られ、詳細はまだ解明しきれていないようです。

地方議員の6割がハラスメントを経験

女性の人材育成も不足している。本来、国会議員はパッと出てなれるとか、なればいいというものではない。最近は、被選挙権年齢を下げて、若者を国会議員に出せるようにしようという意見も盛んで、私も賛成だが、それとはまた別の話として考えてほしい。

有権者の期待に応えて仕事をするには、それまでに地方議会で議員として経験を積んだり、民間企業や地方自治体でキャリアを重ねたり、といったことが必要だ。少なくとも女性の国会議員を増やすには、女性の地方議員をもっと増やす必要があると思う。

しかし、地方議会の女性議員の数も少ない。男女共同参画白書によると、2021年12月末の時点で女性議員の占める割合は、都道府県議会は11・8%、市議会は16・8%、町村議会は11・7%に過ぎない。国政と大差ないように見えるが、地域差が大きい。都市部と地方を比べると地方のほうがより深刻だ。

すべての都道府県議会に女性議員がいる一方、女性が一人もいない「女性ゼロ議会」は市区議会で3・7%あり、町村議会になると29・0%に上る(2020年12月末時点)。

地方議員に対するハラスメントの問題もある。2020年度の内閣府の調査では、女性の地方議員の約6割が何らかのハラスメントを受けた経験があると答えている。

取り残された日本

候補者を選定する側が男性中心のため、候補者も男性が選ばれやすいという点も見過ごせない。近年は、各政党が国政選挙で候補者公募制度を採用するようになり、現職や世襲でなくても候補者になれる道が広がり、女性議員が立候補しやすい環境が整った面はある。しかし、場合によっては、実際には選ばれる候補者が事実上、決まっていて、形だけの公募が行われたり、選ぶ側が男性中心で女性が少なかったり、という問題が指摘されている。公募制度の改善も必要だ。

制度の話ばかりしてきたが、その前提として、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という性別役割分担意識や、「政治は男のもの」という無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)も影響している。女性自身もそうだが、家族や、支援者にも思い込みがある。

女性議員だと地元に国の予算を引っ張ってこられないのではないか、と支援者が考えて嫌がる傾向があるという話もよく聞く話だ。

しかし、道路や橋をつくる公共事業をいかに持ってくるかで、国会議員が競う時代はもう過去のものだろう。地元の選挙区が関わる課題を見てみれば、公共事業さえ持ってくればいいという単純なものではなくなっている。子育て、教育、医療、介護など課題は多岐にわたり複雑化している。その声をよく聞き、課題解決につなげる力こそが地方議員にも国会議員にも求められているのではないか。女性議員のほうがむしろ力を発揮できるかもしれない。

女性候補を増やすには、ざっくりと見ただけでも、これだけの「壁」がある。だから、何年待とうが、自然に増えることはないだろう。どうすればいいのか。数を増やすには、まず候補者男女均等法を改正し、女性候補の数値目標を各政党に義務づけるしかないと思う。各国が採用しているように、クオータ制を導入すべきだ。

内閣府の調べによると、2020年2月時点で世界で118ヵ国が、政治分野で候補者や議席の一定数を女性に割り当てるクオータ制を導入しているが、日本では議論が進まない。欧州を中心に世界各国は1990年代後半以降、クオータ制の導入など、さまざまな努力をしてきた。その間に日本はすっかり取り残されてしまった。