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「風の谷のナウシカ」が宗教二世に生きる勇気をくれた話    コムドットあむぎり

統一教会二世として生まれ、教義の通りに生きることができないと悩んでいたコムドットあむぎりさんが「風の谷のナウシカ」の漫画版原作を読んで、前向きに生きていく勇気をもらえたというお話です。

同じように悩んでいる宗教二世が自暴自棄な判断をせず、自分の命の尊さを知って欲しい。生き続ける勇気を持ってほしいという思いでこのインタビュー記事を書きました。

注意!
ナウシカ原作のネタバレを含みます。
まだ読んでいなくて、今度読もうと楽しみにしていたのに!という方は読まないでね

 

漫画版「風の谷のナウシカ」のあらすじ

高度な産業文明が火の7日間という最終戦争で崩壊し、世界各地は汚染され、腐海に飲み込まれていく。(文明が栄すぎて人々が争うようになったため、超高性能AIが人類を抹殺して初めからやり直すために一部の人間を選んで生き残らせた)

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生き残った人々が各地に小さな国を作り汚染と病から逃れて生きていた。(実は汚染されているのは生き残った人々で、「汚染」こそが元々の地球の空気だった)

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ある都市で地球を焼き尽くした巨大人型生物兵器巨神兵」の生き残りが発見される。(人造兵器であり、意思を持ち進化する、人間を選定するための装置)

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その巨神兵を奪い合うトルメキアとドルクの戦争にナウシカは巻き込まれる。
戦争の中で腐海の底に落ちたり、腐海の深部で暮らす人々と交流しながらナウシカ腐海の秘密を知る。

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腐海と蟲達は汚染された土壌を食べて死ぬ事で浄化する、人工的な生物だった。
浄化が終われば清浄な世界が取り戻される。
だが、簡易マスクだけで汚染された世界を生きることが出来る自分たち現生人類もまた王蟲と同じく遺伝子操作された生物であり、世界浄化システムの一部に過ぎない。
毒の中でしか生きられないナウシカ達 現生人類は清浄な空気では呼吸することさえできない。

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火の7日間で世界を焼き払い、遺伝子操作と腐海による浄化システムを作った、過去の高度な文明は「墓所」というピラミッドに眠っていた。
その墓所の内部には
浄化が終わり清浄な世界が取り戻された時に生まれる人間達が卵の状態で保存されている。この人類は遺伝子操作により穏やかで賢い新しい人類であり、高度な文明と平和な社会を作る人間達である。
 巨神兵に名を授けてコントロールできるようになったナウシカ墓所の奥に存在する人工神との対話に臨む。

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宗教二世とナウシカの共通点

あらすじを踏まえて、ここでちょっとナウシカと二世の共通点について。
宗教二世は一世と違い、生まれた瞬間から教義を教え聞かされて育ちます。
キリスト教系の宗教は善と悪を明確に定義しています。

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一世は善と悪の定義に悩み自分で見つけた答えが宗教の教義なのですが、二世にとっての善と悪は特定の思想を刷り込み教育されたものです。遺伝子操作のように考え方の深いところに織り込まれています。
例えば統一教会二世である私は飲酒に対してものすごい恐怖感を持っていました。頭で分かっていても刷り込まれた善と悪には簡単に背くことができません。
そして、宗教二世が育つ環境はまるで腐海に囲まれているように見えます。

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学校は悪なる思想をもった人達の世界。家と教会は浄化されている安全地帯。コムドットあむぎりさんの場合は目に入るメディアにも親のフィルタリングがかかっていました。
特に統一教会は教義的に自由恋愛は禁止され、神が用意している相手との幸せいっぱいの祝福結婚に向かって1本のレールが敷かれています。
思春期に入る年齢では恋バナや好きなタレントの お喋りに入ることができず、自分と周囲の人達は違うんだと仮面を被るようになりました。

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この誰にも理解されない閉塞感は簡易マスクで腐海を探索するナウシカの世界観と似ています。
そして、教団全体の動きを見れば世界浄化のためにあらゆる活動をしていて、その浄化システムの一員として生きることが当たり前だし、全人類の伝道が終わったその先に平和な世界が待っていると信じています。

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でも、二世である自分の中にも教義で悪と定義されている「異性を好きになる気持ち」とか、その他こまごまとした自己矛盾を抱えている事は理解しています。
清浄な世界で自分は嘘をつきつづけなければいけない。浄化が完了した世界でナウシカ達は生きることができないのと似ています。

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クライマックス

ということで、ナウシカのお話の続きに戻ります。

ナウシカ巨神兵を連れて、人工神である墓所の主と対話をします。
それはこの浄化システムと生命について。
墓所の主は「生命は光である」と主張します。穏やかで平和な新しい文明を作ることは正義であると。
それに対してナウシカは「生命は闇に瞬く光である!」と答えます。
闇の中で光に向かって羽ばたく事こそが生命の尊さであると。

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宗教二世はありのままの自分を肯定して良い。光とか闇とか善とか悪とか喜びとか悲しみとか、そんな簡単に2分割できるものではない。
自己矛盾こそが人間らしさでもあり、それでも前向きに生きて行けたらいいなと自分を許して良いんです。

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そして、ナウシカは暴挙に出ます。巨神兵に命じて墓所の破壊と将来産まれてくるであろう穏やかで賢い人間の卵を全て破壊します。
火の七日間から始まった浄化システムを生命への侮辱と捉えて墓所を破壊しました。
これで人類が生き残る道が全て絶たれました。

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表面的に捉えるとナウシカは全人類の未来を葬ったテロリストです
ただ、悩める宗教二世がナウシカの世界を比喩として見た時、将来産まれてくる穏やかで賢い人間や、全てが浄化された平和な世界なんて実態のない幻想でしかない。ナウシカはその幻想全てを破壊してくれました。

親から続く宗教を自分が捨てて、自分の人生を歩んでいく。こびり付いた刷り込み教育と、ふりかえったら恥ずかしいぐらいの宗教と親に振り回された人生。
矛盾してても全部ひっくるめて それで良かったんだ。自分はそれでも、ちょっとはマシになるかもしれない人生を前向きに楽しもうと決意できた。
みなさんにとって風の谷のナウシカは自分の人生を生きる勇気をくれた大切な作品です

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宗教二世として生きづらさに悩んでいる人がこの記事を読んで、少しでも自分が生き続けることを肯定する助けになれば幸いです。
同じ悩みを持っている人は1人じゃないよ!世の中の人達は思ってるほど悪い人たちばかりじゃないよ。だいたい7割ぐらいが悪い人で3割はいい人がいる