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寝ると記憶が無くなる高次脳機能障害の方と2日間過ごした話。  ■ひろゆき

スマホがそこにあるだけ」で無意識のうちに脳のパワーが消費され勉強や仕事のパフォーマンスが落ちてしまうことが判明

スマートフォンを触らず机の隅に放っておいただけでもメールやSNSの通知が次々と飛び込んできて仕事や勉強が手につかない……という経験をしたことがある人も多いと思いますが、最新の研究では、例え電源が入っていなくても「スマートフォンがそこにあるだけ」で人間の脳の処理能力が消費され、仕事や勉強のパフォーマンスを低下させる影響があることが明らかになってきています。「アジア圏はスマートフォン中毒の進行が素早く、中毒者の年齢層が低くなっている」とBBC Newsで報じられています。Emojiや自撮り棒の発祥の地であるアジアでは、スマートフォン中毒者数の上昇が他の地域に比べ、目立って上昇傾向にあり、中毒者の年齢層が若くなりつつある、という研究結果が多数報告されています。2015年に韓国の1000人の生徒を調査した研究によると、韓国では11歳~12歳のスマートフォン所有率は72%に達しているとのこと。1日のスマートフォン使用時間は平均で5.4時間に上ることが判明しており、スマートフォンを持つ生徒のうち、25%がスマートフォン中毒に陥っていると考えられています。

世界には90億台のスマートフォンがある中、アジア圏には50億台のスマートフォンが存在するともいわれています。その結果、台湾人女性がオーストラリアを旅行中にFacebookを見ながら歩いていたため、桟橋から落下してレスキュー隊の救助が必要になった事件や、中国人女性が同じくスマートフォンを見ながら歩いていて、排水溝に足がはまって抜けなくなった事件など、若者のスマートフォン中毒によって起きた事件が多数報じられており、アジア圏では日本と同じく「歩きスマホ」が問題視されているわけです。

テキサス大学オースティン校のビジネススクールである「マコームズ・スクール・オブ・ビジネス」のエイドリアン・ワード教授らの研究チームは、800人のスマートフォンユーザーを対象に、例え実際に使用していなくてもスマートフォンが身の近くにあるだけでどのような影響を与えるのかを調査する実験を行いました。

実験の1つでは、研究チームは深く集中しないとクリアできない課題を参加者に与え、脳の認知能力がどれほど発揮されているかを確かめています。実験の前には、参加者の中からランダムに選んだ人に対して、スマートフォンを机の上に画面を下にして置く、ポケットに入れる、バッグに入れる、または隣の部屋に置いておく、のいずれかの指示を与えました。また、全ての参加者に対して、スマートフォンをサイレントモードに設定しておくよう指示が行われたとのこと。

その状態で課題に取り組ませたところ、スマートフォンを隣の部屋に置いたグループが最もよい結果を示し、机の上にスマートフォンを置かせたグループが最も悪い結果を残したとのこと。また、ポケットに入れさせたグループとバッグに入れさせたグループは、隣の部屋に置かせたグループよりもやや低い結果を残しています。

研究チームはこの結果から、例え全力で取り組まなければならない課題が与えられていたとしても、自分の近辺にスマートフォンがあるほど意識がそちらに引っ張られ、脳の認知能力の一部が消費されてしまうことが明らかになったと言う見方を示しています。ワード教授は「結果からは、スマートフォンがその存在に気付きやすい位置にあればあるほど、被験者の脳の認知能力が減少することを示す、リニアな傾向があることがわかりました。たとえ、意識的な部分でスマートフォンのことを考えていないとしても、頭の中にある『何かを考えないようにしなければいけない』という脳のプロセスが、脳の認知能力の一部を消費してしまうのです。これは『ブレイン・ドレイン』(脳資源の流出)です」と語っています。

また、同チームが実施した別の実験では、被験者が自分で「スマートフォンに依存している」と考えていることが認知能力にどれほどの影響を与えているのかが調査されています。この調査では、前述の際と同じように参加者に対して課題に取り組ませており、ランダムに「机の上に画面を上にして置く」「ポケットかバッグの中にしまう」「別の部屋に置く」という指示が与えられており、さらに何人かの被験者には「電源をオフにする」という指示も与えられたとのこと。

この実験からは、「自分はスマホ依存症である」と思っている人はそれほど依存が強くないと考えている人に比べて悪い結果を残したことが明らかになっているのですが、その結果が現れたのは、こちらも机の上かポケットまたはバッグの中に置いておかせた場合だけだったとのこと。さらに、ワード教授らは、スマートフォン本体の電源がオンであるかオフであるか、また、机の上で上向きなのか下向きなのかという違いは、結果に大きな違いがなかったことを発見しています。最も大きく作用したのは、スマートフォンが目の前に置かれていたり、すぐに手の届く範囲に保管されているということを知っているときであり、「スマートフォンのことを考えないでおこう」と脳が無意識で考えることが、脳の能力の一部を消費してしまっていることが浮き彫りになっています。

ワード教授は「参加者の意識が散漫になってしまったのは、スマートフォンに通知が届いたからではありません。スマートフォンがただそこにある、それだけで人の認知能力は低下してしまうのです」と語っています。