ボカロPとしての名義はハチ

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交換ノートのように紡いだ作詞    ■宮脇咲良

福岡出身、現在は東京を拠点にインディペンデントに活動を続けるラッパー、maco maretsによる6作目のアルバム『When you swing the virtual ax』は、過去2作品と同様にコラボレーションがコンセプトに掲げられ、様々なコラボレーターと共に作り上げられた。

そんな同作の中で全10曲中ちょうど真ん中に当たる6曲目“Moondancer”では、同い年かつ同郷の宮脇咲良フューチャリング。人と人、自己と他者の間を、彷徨うように、でもたしかに地に足をつけたよう揺れ動く感情を描いたこの楽曲には、もしかするとmaco maretsがコラボレーションを通して表現したかった何かが最も顕著に現れているのかもしれない。

そんな想いを抱きながら、まだ数回しか直接顔を合わせたことがないという、付かず離れずな距離感の二人に話を訊いた。

──このコラボが実現したきっかけから伺ってもいいですか?

宮脇咲良(以下、宮脇) 私はずっとmaco maretsくんの曲を聴いていて。それに同い年で、地元も同じ福岡でね。

maco marets いえいえ、僕の方こそ(笑)。

 

宮脇 それで私がアルバム『SUPERMARKET』(2020年)を制作しているときに「ご一緒しませんか?」って持ちかけたのが最初なんですけど、そのときは叶わなかったんです。

maco marets オファーの内容がアレンジワークメインで、僕はどちらかというと作詞やラップがメインなのでそのときは難しくって。

宮脇 それから1年ちょっと経ってから逆に「いっしょに曲作りませんか?」と声を掛けてくださったんです。

──地元が同じ福岡とのことでしたが、地元にいた当時は面識があったわけではないんですよね。そこまで近くはなかったんですか?

宮脇 いや、めっちゃ近いんです! 福岡って今は博多駅も綺麗になってみんな行くんですけど、当時は遊びに行くなら天神ってエリアで。電車はすごく少ないので、バスで移動するんですけど、そのバスで同じ区間を使ってた。

maco marets だからすれ違っているというか、同じ場にいた可能性が高いですね(笑)。

──宮脇さんとのコラボレーションは制作の早い段階で決まっていたんですか?

maco marets そうですね。誰かしら女性シンガーの方とまた曲を作りたいなと思っていて「じゃあ誰と?」となったときに、一度叶わなかったのもあって最初に藤原さんに連絡させてもらいました。

──曲のイメージはオファーの段階である程度見えていたんですか?

maco marets いや、オファーをしたい気持ちはあったけれど、じゃあどういうサウンドでとか、具体的なイメージは正直あまり固まった状態ではなかったんです。

藤原 そう、それでまずmaco maretsくんが事務所に来てくれて、打ち合わせをしたんです。そのときがはじめましてで、「ありがとうございます」ってところから始まって。「最近どんな曲を聴いてる?」みたいな。

maco marets まずそういうところからすり合わせたいと思って。こちらの意見だけ通すんじゃなくて、お互いの一番いい落とし所を探っていきたかったんです。リファレンスをまとめたプレイリストもあって、Kyle DionとかClairoとRejjie Snowの曲(“Hello”)とかが入っていたりしますね。出来上がったものとは全然違うんですけど。

宮脇 はじめから「このトラックでやりましょう」じゃなくて、話してトラックを作ってもらえたので、一つひとつ段階をいっしょに踏みながら作らせてもらいました。

──掛け合いのリリックもありますがどのような作り方だったんですか?

maco marets リリックは交互に書こうという話を僕からさせてもらいました。僕が自分のパートを全部作った上で渡すんじゃなくて「お互いの歌詞を受け取って打ち返すっていう書き方をやってみたいです」と伝えて。

宮脇 あんまりこういう作り方をしたことがなかったのですごく新鮮でしたね。

──たしかにあまり無いかもしれないですね。

宮脇 曲自体は私のパートから始まるんですけど、「あ、じゃあ私が主導権を握ることになるんだ」と思って「ちょっと悩みますねー」と話したら「じゃあここを空けて僕から書くので」と言ってくれて。そこからはなんだか交換ノートのような感覚で。しかもお互い「こういうことを歌っている歌詞です」っていう説明は一切なく、歌詞だけを送り合っての制作だったので、すごく言葉と向き合いましたね。

maco marets お互いが裏を読みながらでしたね(笑)。

──maco maretsさんのリリックの魅力は、わかりやすいことではないと思います。その分、テーマを汲み取るのは大変ではなかったですか?

宮脇 私はmaco maretsくんの魅力的なところは歌詞の世界観もすごく大きいと思っているんです。それこそ小説を読んでいるような、私が普段歌詞を書くときに使わないような言葉や世界観だったので、小説の断片をもらってその続きを書くような気持ちでした。私の方はラップではないので緩急をつけるイメージで応えることができたらいいなと。

maco marets 僕ももっとこういうことを歌ってますって言葉にした方がいいのかなと思ったりもしたんです。やっぱり言わないと伝わらないこともあると思うので。でも藤原さんのキャッチする感性の鋭さというか……。

──その信頼感もあったわけですね。ラリーはスムーズだったんですか?

maco marets そうですね。パンと打ち返してくれる感じで。めちゃくちゃ鋭い方なんだなって。

藤原 お互いに「これはこうした方がいいんじゃない?」とかも全く無くって。私が「あとで直すかもです」とか保険を掛けつつ(笑)。

maco marets 僕も保険を掛けてましたね、「一旦これで」とか(笑)。

──掛け合いの箇所も同じ作り方だったんですか?

藤原 いや、ボーカルの掛け合いのところはmaco maretsくん作です。「ここはいっしょに歌ってほしい」と言ってくれて。

maco marets コラボレーションなので掛け合いがあるとより臨場感も出ると思って。でもそこもあまり相談せずに僕の方から「掛け合いにしましょう」と投げました。相談しなかったのでレコーディングのときにその場でいろんなパターンを歌ってもらって、完成したものは2パターン左右が異なるニュアンスで鳴ってますね。

──お話を伺うと、とても難しい制作方法にチャレンジしていたことに驚きました。

藤原 作っていてすごく楽しかったですね。ラッパーの方たちのコラボってこうやって交互に作ったりすることはあるんですか?

maco marets 長い曲だとあるかもしれないですね。ただ、だいたい1ヴァースずつ作って終わりっていうのがラッパー同士だと多いので、打ち合う感じはもしかしたら少ないかもしれないです。

藤原 参加しているメンバーが多いものは、「ここからここは誰」っていうのが決まっていたりしそうですね。

maco marets 女性シンガーの方とのコラボはこれまでにも何回かあるんですけど、そのときは僕が全部用意していて、サビだけ「ここお願いします!」という感じでした。

──こういう作り方にしようと思ったタイミングはあったんですか?

maco marets いやー、どこで思いついたかわからないんですけど、そのやり方がいいなって思ったんです。藤原さんだからというか、ぶつかり合う感じというか、対等に、フラットな形がいいんじゃないかなと思ったんです。

 

 

 

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2017年12月27日、深夜の喧騒

価値が下落するとき、投機的な思惑からビットコインは開放される。

ビットコインとは、それ自体がもはや全体の中の部分にしか過ぎないのに完全な価値と錯覚している仮想通貨にほかならない。我々は円環技術の飛躍の局面へと導かれている。脅威に満ちた技術進歩のすべては、そこへ至る1つの道、つまり未知の領域から日常世界のインフラへと浸透する際に生じる、背理をはらみ困難に満ちたボーダーを超える序曲に過ぎないのだろう。

ネットワークを囲む外部環境から躍進を促されるにしろ、平穏無事に運ばれるにしろ、いずれにしても技術は恩恵を携えて回帰しなければならない。

恐ろしいほどの投機者が群がっても、遠く離れたそれぞれの文化圏から集められた資金は仮想通貨の価値を十分に証明してあまりある。価格の調整局面にいたっても価格形成の全過程を通じて投資を行ってきた支持者は価格の上昇を信じてやまない。

仮想通貨が人間社会にもたらしたものは、仮想空間における新たな共同体、熱狂的なコインフリーク、地球を網羅出来うる新しいネットワーク、そして新たな基軸通貨を生み出すことに寄与するだろう。

ビットコインですらそうした債務履行はしばしば拒まれている。分散台帳のもつ信憑性が果たして各国の中央政府に伝えられるかどうか疑ってかかり、それぞれの技術者達はこの価格上昇の陶酔の最中に実際に他社に後れをとらない「確固たる性能」を提示する必要がある。

価値は我々の手元から各国中央政府へと渡る。これは分散台帳技術本来の目的を成し遂げたり、あるいは技術の流出となっていずれは我々の眼前から呆気なく消え去るかもしれない。そこにこそ、ビットコインと分散台帳技術を理解する重要なカギがあるのだが、それらは本来1つの価値なのである。そしてその価値の探求こそが、好むと好まざるとに関わらずその価値の全てとなる。

日常生活では重要と思えた価値や特性が、技術との同化によって消滅してしまう。散見される価値に相応しくない技術にとっては、この価値の探求こそが重荷になる。

今後も価値と技術の間に生じる不一致にいつも悩まされることになり、この不一致があるために価値の下落が発生する。支持者個人または共同体には技術の活用ができるベースが備わったとしても、中央政府にとっては信頼に足りうる実証なくして全幅の信頼を委ねることができない。

だから政府は自国民を守るために、いつまでも懐疑的な見地を抱き続ける。未知の技術がもたらすはずの恩恵はただちに合理化がほどこされ、とるに足らないものになってしまうため、恩恵をあらたにもたらしてくれるもう1つの「仮想通貨」を待望する声が次第に高まってくるだろう。