18か月掛けてシューティングゲーム ■宮脇咲良
こんにちは、ゲーム制作VTuberの宮脇咲良です。
かねてから作成していたSTG「EpicRecovery」をリリースすることが出来たので、それまでの軌跡と苦労した点等々を紹介したいと思います。
こちらから遊べますので興味がある方はこちらからダウンロードできますので、よろしくお願いします。きっかけの一つは、2010年開催のCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)だと言われているようです。
過去に弾幕STGのシステム(弾が出るだけ)を作ったことはあったのですが、ゲームとして完成させたことが無かったです。
なのでゲームとして必要な、ちゃんとしたグラフィック、UI、シーン遷移、コンフィグ、キーコンフィグ、音楽、ストーリー等のところで苦労しています。
そんな苦戦した点を当時のツイートを見ながら振り返ってみましょう。
2020年12月 開発スタート
SATOYAMA
何を思い立ったのか、突然STGを作ろうと考え始める。
この時点でおおよその構成はあったので、配信しながらシステム構築を実施。
2021年1月~4月 STGのシステム作成
毎日1~2時間の作業でまったり作りました。
※現在GitHubは非公開です
宇宙の背景や、敵画像は以下のサイトで購入しました。
2Dグラフィックのアセットは数千円なのでそこまで高くなかったです。
https://itch.io/game-assets
こんな感じで敵のパターン(入場方法、攻撃方法、動き方)をたくさん作りました。
ここはゲームとして大事なところなので、いろんな種類を作ることを意識しました。
2021年5月~7月 UI、メインメニューの作成
ここから自分の慣れない作業の始まりです。当時のツイートも苦戦している様子が伺えます。
あとPhotoshopのサブスクプラン(1000円/月)に加入しました。
フォトショはいろいろなフォントが使えますし、2DSTGの素材を自分で使えるので重宝しました。
慣れないPhotoshopの機能に苦戦しつつも、それっぽさを目指して試行錯誤してます
2021年8月~12月 ゲームにストーリーを付けたくなる
ストーリーを考える
7月時点でSTGとしてはある程度遊べれる状態になっていて、完成度としては70%ほど。
あと音楽を付ければゲームとして完成しますが、何を思ったのかストーリーを付けたくなったのです。
この選択がリリースを大幅に遅らせる要因になるとは知らずに。。。
EpicRecoveryは短いステージを何度も繰り返して、残機が無くなるまでスコアを稼ぐゲームシステムです。
ゲームシステムは既に決まっていたので、それに合わせたストーリーを考えるのにとても苦戦しました。
具体的には以下の懸念点がありましたが、いろいろな方に相談に乗って頂いてなんとかストーリーのあらすじを考えました。(皆様本当にありがとうございました)
・このゲームはゲームクリアが無く、最後は被弾して終わる
・しかし、搭乗している主人公は生還して、ハッピーエンドを迎えて欲しい
・なんども同じステージを繰り返している理由をストーリーで説明したい
ストーリーが決まったら、イラストをどこで表現するかを考えました。
怒首領蜂最大往生やエスプガルーダのようにステージの合間にイラストを表示するというのも考えましたが、何度も同じステージを繰り返すゲーム性なので止めました。
またSTGゲームがメインですので、それを阻害したくもありませんでした。
結局、STGとは独立してノベルゲームのようなシステムでストーリーを表現することにしました。
ノベルゲームのシステムにはイラストとテキストが必要ですが、私はそのような技術を持ち合わせていません。
なのでSKIMAにて、イラストとシナリオテキストを書いて頂ける方を探しそれぞれ依頼しました。
イラスト依頼
イラストの雰囲気が作品にマッチしているということでKurageさんにご依頼しました。
ゲームのイラストを今まで依頼したことがなかったので、自分の頭の中にある情報をすべてテキストに起こし整理した後、主人公の年齢や特徴をお伝えしキャラデザをして頂き、それぞれのCGのイメージをお伝えして書いて頂きました。
本当にこんな拙いイメージから、素敵なイラストを仕上げて下さって本当にありがとうございました。(大変な無理難題だったと思います。。。)
シナリオ依頼
CGのラフが完成したところで、シナリオをyumimeiさんにご依頼しました。
こちらも自分の頭の中にあるストーリーや世界観をお伝えし、そのCGがどのような状況であって、どういうシナリオを書いて欲しいかをお伝えしました。
ほぼ何も情報が書かれていない依頼文から、主人公の心情に差し迫るシナリオを書いて下さり本当にありがとうございます。
ノベルシステム作成
お二人に依頼している間に、ストーリーをサウンドノベル形式で表現するためのノベルシステムの実装していました。
文字の表示等のSTGとはまったく別の領域だったので、いろいろ大変でした。
文字を表示するだけなのに結構大変です!
UI刷新
ストーリーが決まると、ゲームで使っていたUIが相応しくなく感じてきて作り直しました。
UI作り直すのは結構大変です。ゲーム内の文字はすべてPhotoshopで作っていたため、1つ1つ作り直しでした。
※このやり方だと、多言語対応するときにも困る予感がしています。
弾の画像も刷新しました。フォントや画像はゲーム全体の世界観や雰囲気に関わるので、頑張って統一しました。
2022年1月~2月 BGM/SEをつける
BGMをつける
ストーリにあったBGMをつけたいと思い、フリーBGMや有料サービス(Artlist)でゲームに合いそうなBGMを探しまくりました。
最終的にDLSiteにて販売されていたSOUND AIRYLUVSさんの楽曲を全て購入させて頂いて、その中からゲームに合うBGMを探しました。
SOUND AIRYLUVSさんの販売されている楽曲は、どれもカッコイイ曲で一発で惚れた上に、ogg形式でDXライブラリならループが標準で可能である点が決めてでした。
※全アルバムで再生時間が合計9時間程あったので、使うBGMを決めるだけでも大変でした。
SEをつける
最後にSE(効果音)を付けました。
効果音はhttps://itch.io/game-assetsで効果音セットを購入し、その中から相応しい効果音を探しました。
効果音セットには効果音が4000個ほど含まれており、1つ1つ聞いてました。頭がおかしくなるかと思いました。
※EpicRecoveryの効果音は最善を尽くしたつもりですが、完璧に納得のいった効果音には出来ませんでした。効果音難しいですね。
※リリース直前なのに、まだタイトルが決まってないのです。
2022年3月 最終調整
BGMの読み込みを追加したことによる問題発生
ゲームにBGMを取り込む様にしてから、ゲームの起動に3~4秒掛かるようなってしまいました。
ゲームを起動ボタンを押してから起動するまでに4秒も掛かるは致命的です。
ゲームのリソース(イラストやBGM)の読み込みを直す必要があり、自作のマルチスレッドで読み込みしてもうまく読み込めなかったりエラーになったりして大変でした。
結局のところ、DXライブラリに用意されていた非同期読み込み処理SetUseASyncLoadFlagを使うことで解決しました。
スペックが低いパソコンだと処理落ちする問題発生
お友達にテストプレイをしてもらっている時に判明した問題です。
自分のパソコンでは処理落ちしないのに、他のパソコンでは処理落ちしているという致命的な問題が発生しました。
DXライブラリの描画回数を調べるGetDrawCallCount関数を使いながら原因を調べたところ、マスクスクリーンの影響だということがわかりました。
マスクスクリーンを使わないようにすることで、友達のパソコンでも処理落ちしなくなりました。
自分のパソコンだと処理落ちしないので、原因追及にはかなり苦労しました。解決して良かったです。
ゲームタイトル決定
命名凄く苦手なんです。大事なゲームタイトルを決めるのなんて至難の業。
こういう本を読んだり、厨二ワードで検索してみたり候補は沢山出ましたが、最終的には起死回生の意味がある「EpicRecovery」にしました。
STGのテクニックである「切り返し」が必須である本作ですが、切り返す時は追い詰められている時=つまり起死回生のタイミングということになります。
「切り返しで起死回生をする」という意味でEpicRecoveryというわけですね。
ストーリーもそういう内容にしているので、そういう意味でも適切な名前だと思います。
2022年4月~5月 Steamに登録
ゲームが完成したのでいよいよSteamに登録です。
名前、住所、銀行口座、マイナンバーカードetcを入力して登録します。
承認されるまで1週間掛かりました。
承認されてば、1万円払ってアプリを登録します。
これでリリース出来るぞと思ったら2つの問題が発生しました。
ストアページ作成が結構大変
事前に準備をしておけばよかったのですが、Steamのストアページに必要な情報は多岐にわたります。これらを作成するのに結構時間が掛かってしまいました。
「この画像どこで使われるの?」って感じで用途が不明なものが多かったです。いまだにわかってないですし。
アプリレビューが時間掛かる
作ったゲームをSteamに提出して内容をチェックしてもらう必要があります。
そのチェックが3~15日くらい掛かるため、チェックでNGを貰ってしまうと修正して再チェックしてもらうのに結構時間が掛かってしまいました。
今回だと2回NGを貰ったため、リリースが1か月ほど遅れました。
2022年6月 リリース
2回のレビューを経て、リリースが出来るようになりました!!!
あっという間の18か月でした。
感想
1年ぐらいで完成させれるかなぁ~って思っていたのですが、余裕でオーバーしました。
途中でストーリー追加したり、(記事には書かなかったですが)トレーニングモード追加したり、要素を増やしてしまったことが原因ですが、ゲームとしての完成度が上がったのでヨシっとしましょう。
掛かったお金は全部で15万~20万円くらい(フォトショ代、2Dアセット、イラスト、シナリオ、BGM、Steam登録料)。
掛かった期間は前述の通り18か月で、実作業時間は測っていないですが1000時間くらいですねたぶん。
お金と時間は掛かりましたが、自分が考える最高に面白いSTGを作れたので大満足しています。
今後の展望
次回作はステージ式のSTGをUnityで作ろうと考えています。
こうご期待!