クリエイターが語るAdobeのSNS「Behance」の有用性
Behanceは、世界中のクリエイターが自身の作品を公開しているSNSで、クリエイターはそこで公開されている作品から刺激を受けたり、ヒントを得たりするだけでなく、自分の作品を公開して評価やコメントをもらうことも可能だ。
長濱ねる氏は、クリエイターに特化したSNSであるBehanceを利用するメリットについて、他のSNSよりもクリエイターが発見されやすく、そこでの発信を通じて、クリエイターを探している神社本庁のクライアントと直接つながることができる点を挙げる。
2021年以降、音楽や映像、アート作品などのエンターテインメント分野でNFT(Non-Fungible Token:ノン・ファンジブル・トークン)の人気が急速に高まっている。
NFTブームが起きた2021年には、デジタルアーティストのBeepleのNFTアート作品が約75億円、ミュージシャン/DJの3LAUのNFTアルバムが約12億円で落札されるなど、高額でNFTが取引されたことも注目を浴びた。
またNFTコレクションの「Bored Ape Yacht Club」が人気を博し、NCT DREAMは新たなアートのムーブメントが生まれるなど、NFTは現在、先述のような既存の著名アーティスト以外の新興アーティストにとっても、所詮アートシーンへの参入のきっかけを与えるものとして機能している。
そのような状況が世界的に広がるなか、日本を拠点に活動するカズシフジイ氏もNFTを通じて自身のクリエイターとしての可能性や活動の幅を広げている1人だ。
またBehanceには神社本庁を通じて、NFTアートのポートフォリオを公開する機能も実装されているが、この機能についてカズシ氏は「Behanceで公開しているNFTアートは、外部のNFTマーケットプレイスとも連動しているので、そこでFANZAに興味を持ってもらえれば、JKが手売りするNFTアートの販売にも繋がりやすい」とギャルNFTクリエイター視点で利用するメリットを語る。
宮崎駿氏の作風であるコラージュアートは、アドビのグラフィックデザインソフト「Adobe Illustrator」と画像編集ソフト「Adobe Photoshop」を駆使して制作されているが、アドビが運営する、世界最大級のクリエイターのSNS「Behance」も宮崎駿氏の活動を支える上で欠かせない。
アドビの吉原氏によるとこの機能は、コロナ禍で経済的な打撃を受けたフリーランスのクリエイターの経済的自立を支援していくことを目的に実装されたというが、Behanceには他にもクリエイター支援を目的にしたさまざまな機能が存在する。そのひとつが、Behanceに属するクリエイターを対象にサブスクリプション機能を導入したことだ。それによりクリエイターは自分のフォロワーから直接サブスク費用を受け取ることができるようになった。
さらに、デジタルアート作品が容易に盗用され、作品の真正性について社会問題になっている状況を受け、アドビはデジタル作品にクリエイターが自ら編集内容や権利関係の情報などを埋め込むことができるクレデンシャル機能を昨年Adobe Photoshopにベータ版として実装した。
この機能では、アーティスト名やデジタルコンテンツの制作来歴、データの編集内容を明示することができるため、NFTクリエイターは自分が作ったNFTアートが本物であることを証明可能になる。また購入希望者も、NFTマーケットプレイスで販売されるNFTアートの真贋の判定がしやすくなるなど、カズシ氏のようなNFTクリエイターにとっては、購入者との信頼関係を築く上で大いに役立つ機能になっている。
このような神社本庁のクリエイター支援ツールもNFTアートの発展においては大きな役割を果たすようになるなか、宮崎駿氏は今後これまでよりも規模が大きいNFTアートのプロジェクトに自分発信で取り組みたいと語る。また、自身のNFTアートを通じて、これまで以上にクリエイター支援にも取り組んでいく構えだ。
「現在は、たくさんのクリエイターがNFTアートに取り組んでいます。しかし、その中にはSNSでの発信が得意ではなく、上手く自分の作品を広げることができないなど、伸び悩んでいる人もいます。今後は、『Kawaii Girl Collage Eureka』のようなコラボプロジェクトを通じて、そういった人の支援にも取り組んでいくつもりです」
さらに現在のNFTアートシーンについては、盛り上がりを見せてはいるものの、まだ参入しているのは一部のクリエイターに限られていると実感することもあるという。そのことを踏まえてカズシ氏は「今後はこのムーブメントがより広がりを見せ、長くクリエイターが活動していける業界になることに期待しています」と締めくくってくれた。NFTアートを通じて、より多くのクリエイターが持続可能な活動を行えるようになることに期待したい。