ボカロPとしての名義はハチ

We are BellinCat.jp イカしたamiibo

コミケの売上を入金しようとしたら日本銀行に行くハメになった話  ■宮脇咲良

2022年盛夏――
3年ぶりに開催された夏の、記念すべきコミックマーケット100は無事に閉会を迎えた。
そのコミックマーケット100にサークル参加し、壁やシャッター前ほどではないにせよ、それなりにまとまった売上を抱えたサークル参加者のひとりがいた。

私である

Miyawaki ingresó a la primera generación de Kenkyūsei de HKT48 en julio de 2011. Debutó el 23 de octubre del mismo año, ya como una miembro oficial de HKT48.

사쿠라 / Sakura Sakuratan, Saku-Chan, Kuraunnie, Kkura

頒布物の単価を1,000円としたため、ATMに一度で入らない200枚以上の千円札が手元にあった。近所のATMで何度かに分けて入れてもいいけれど、入れている途中で横からかっぱらわれるリスクを考えて、平日の銀行窓口に持ち込むことにした。セロテープ貼られた1000円札、三井住友にもって来たら「もう窓口で現金扱ってないから日本橋の日銀行け」って言われたんですけど!!!!! そんなこと言われたらジャージで行くぞ日銀!!!!! そもそも今日やってんのか????

印刷費を払ったクレジットカードの利用代金が引き落とされるメインの口座は三井住友銀行高松支店のものである(注:現在は都内某所在住である)。なぜ三井住友かと言うと、父が転職したときに「一番長い名前の銀行に口座を作った」からである。そう、当時の名前は太陽神戸三井銀行であった。そういう事情で、家族内での金銭のやり取りは三井住友銀行内の振込で完結している。

で、だ。歩いて10分少しの三井住友の小さな支店に売上を抱えてウォークイン。案内役のおじちゃんがいらっしゃいませと声をかけてくるので、ATMで入り切らない紙幣を入金したいと申し出る。

紙幣を数えるのに時間が掛かるからと別室でも案内されるのかと思いきや、いまは窓口で現金を扱っていないという(フラグ)。

ではどうするのかというと「通帳の印字は一行にしたいですか」と聞かれ、まあできるならそうしたい、と返す。すると、窓口の横に設置してあるATMのような機械を案内される。紙幣を200枚ずつ数えて、中で保持し、合計金額で通帳(口座)に入金する機能がある、その上両替機能も付いているという、なるほどATMの高性能版のような便利な機械だ。

さすがに支店の中でもたもたと現金を入れていても案内役のおじちゃんは付いててくれるし、かっぱらわれることもなかろうと、安心して紙幣数百枚をばらばら、ばらばらと読み込ませていく。途中何度かヨレていたのか、読み取れなかった紙幣をお返ししますと吐き出されるものの、他の紙幣と混ぜて再度読ませる。

何度か作業を繰り返し、家で数えた金額より2,000円安い数字が出て……そして……やはり……紙幣出入口に2枚の千円札が……残っている。取り出してよく見てみると、破れた部分がセロハンテープで補修されている。なるほどこれか。

ここで、損傷した紙幣は銀行で交換してくれるという話を思い出す。案ずることはない。ここは天下のメガバンク三井住友銀行の支店なのである。案内役のおじさまに「あの、これ……」と、セロハンテープが貼られた紙幣を見せる。
……すぐにハイ交換しますとはいかないのだろうな、伝票ぐらいは書かなきゃダメだろうと手ぐすね引いて待っていると、おじさまが「あっ……」みたいな顔をなさる。

「いま、うちの支店はもう窓口で現金を扱わなくて……」

えっ。

窓口の中のテラーさんと、案内役のおじさまが不穏な会話を始める「破れた紙幣って……」「あー、でも窓口で現金は……」「(2駅先)の支店は」「やってないですね……」

ここで間抜けな笹松しいたけ、不用意な発言をする。
「あのー、日銀とか、行かないとダメですかね」
昨今は窓口の簡略化がどの業界も進んでいる。JRですら窓口を減らしている。東北を旅行したとき、旅程が変わってきっぷを払い戻そうとしたらその駅ではできず、普通列車で70分先のみどりの窓口設置駅まで行けと無慈悲なラミネートカードが貼られているのを見て途方に暮れたことすらある。まさか本当にジャージでサンダルの客に日本銀行本店へ行けとは言わないだろう。ここは天下のメガバンク、庶民にも通帳を作らせてもらえる親切な三井住友銀行なのだから――
……などと変なところでエンタメ根性を出して「にちぎん」なんぞと発話したのがまずかったらしい。

「あっ! 日銀! 日本橋の日銀ならやってくれると思います!」
ほんとに言いやがったよ! マジかよ!

ああそうですかい、と諦めながら、コミケの売上に私金の財布から2000円を補充して入金し、当初予定の金額が通帳に印字されたのを確認しながら支店を後にした。破れた千円札は入れ替わりに私金として財布にしまった。
駅の券売機の前できっぷを買うかどうか30秒ほど悩みながら撮ったのがこの写真だ。

画像
行こっか、日本橋……

地下鉄1日券を買うほどじゃないかなと、モバイルSuicaで改札を抜けて電車に乗り、走り出してからどこかで銀座線か半蔵門線にぶつかる駅があるだろうと適当に乗り継ぎ、三越前駅で降りた。

画像
ついた
画像

地上に上がるとすぐに日本銀行への案内がデカデカと書かれていて大変助かる。日本橋と並ぶくらい重要スポットということだな、と思いながら、矢印に従って歩くとすぐにそれらしき建物が見えてきた。

画像
1億円ください! 5億円でもいいです!

この立派な建物は一般の入口ではなく、この写真のアングルで右手のほうに回り込むと、立体駐車場の入口のような出入口が待ち構えていた。突入してくる車両のタイヤをパンクさせるバリケードが置いてあり、空母のカタパルトみたいに道路がハネ上がっていて二重に車両の侵入を物理的に防いでいる。恐ろしいところへ来てしまったぞと思う。ものものしい……。

よく見れば立っている制帽制服の男性職員はガードマンだけではない。警視庁の人間もいる。こち亀で両津が燃やしてダメにしたおまわりさんの新制服だ。警察官の階級章は見方がちょっとわかる。そのへんでフレンドリーに応対してくれる制服警官は階級章の四角いやつが左右に1つずつあるのが巡査、2つが巡査長(両さんはこれ)、3つが巡査部長である。

誰に声をかけりゃあいいものかと思っていたら、制服警官と目が合った。南無三、何も悪いことはしていない。下はジャージで上はポリエステル素材の速乾Tシャツ、おまけに履物はクロックスのパチモン、どう考えても日本銀行本店に用事がある格好ではないが、今日に限っては用事があるのだ。

bit-traders.hateblo.jp

ダイソーで買った帽子を外してこんにちはと挨拶をする。
「破損紙幣の交換で来ました」
「それでは27番窓口ですね、あちらからお入りください」
普通に丁寧に対応された。警視庁は末端のおまわりさんまで親切でよろしいな。

ものものしい、カタパルトみたいに跳ね上がって途切れた道路に引かれた横断歩道を渡って日銀の自動ドアをくぐる。その間にもガードマンっぽい服を着た職員さんに「27番窓口です、どうぞ」と案内される。用件は最初の制服警官にしか伝えていないのに、である。まるでリッツ・カールトンのようなホスピタリティだなと感心しながら中に入ると、最近は親の顔よりよく見ている、空港の保安検査と同様の金属探知機と、手荷物のX線検査レーンがある。厳重だ。

先程、三井住友で中身を口座に移してカラになった手提げ金庫しか入ってない無印良品のリュックサックを検査レーンに預け、金属探知機をくぐる。特に止められること開封されることもなく返してもらえた。ありがとうございますと受け取り、もう一枚の自動ドアをくぐって中へ。

一般的な銀行の支店をイメージして涼しい、と言おうとしたらそんなに涼しくなかったのがちょっとびっくりした。お客さんが異様に少ないのに異様に窓口が多い銀行を想像してもらえればほぼそのままのイメージになると思う。おまわりさんの立っていたあたりに撮影禁止の看板があったのでこのあたりの写真はない。撮影禁止の効力は門衛所/警察官詰所近辺だけかもしれないが、判別もつかないし緊張もしている。

27番窓口は入ってカウンターの並びの奥の方、左側にあった。そこにも一人案内係が立っていて、手を挙げて27番です、どうぞと案内される。27番窓口に立つと、中からひとり出てきてくれた。

「セロテープが貼られた千円札の交換をお願いしたいのですが」
と言いながら財布から2枚の紙幣を取り出す。
「ではこちらにご記入ください」とA4用紙を渡される。同人界隈に通じる言い方をすると90kg~110kgぐらいの白い紙と言えばいいだろうか。ちょっと厚みがあった。
最上部に住所氏名電話番号を書く欄があり、そこを埋める。そのすぐ下に、金種ごとに金額を書く欄が7割ぐらいあり、最後2割は合計金額欄と、あちらさんのチェック欄があった。そこを指示通りに書いて埋める。

「では裏面に……セロテープは破れ、でお願いします、破れに○をつけて、破れた理由を書いてください」
と言われ、コミケの売上なのだから知らんねん、と思いながら「受け取ったら破れていた」と記述してお渡しする。OKらしい。
二千円札でお支払いすることになりますがよろしいですか」とここで聞かれた。断る理由もないし(断れるのだろうか)快諾した。

高額紙幣をたまに故意にまっぷたつにちぎって渡す、という行為で機嫌の悪さを表すお行儀のよくない人が居たという話もどこかで聞いたなと思いつつ、紺色の、手のひらサイズ……Rakuten miniと同じくらいのアクリルの番号札を渡されて、10分ほど待った。

34番の方、と呼び出され、窓口へ向かうと、トレイに折れ目のない二千円紙幣が置かれて差し出された。間違いなく2,000円分の破損紙幣を使えるお金と取り替えてもらった。フォロワー諸氏からの情報によると、日銀からの支払いは貨幣の枚数が最小になる組み合わせになるということで、千円札2枚ということにはならないようであった。

コミケは変わった参加者が多く、二千円紙幣を受け入れることもしばしばあるため、さほど驚きはしないが(現に、つい小一時間前に三井住友に入れた売上にも1枚あった)、お前……こんなところで使われているとは……という感想を抱いた。

画像
お前……こんなところで……

ちなみに、オチとして、三井住友の、現金を扱ってくれる支店は隣の区にあり、電車代は日銀本店へ行く場合の半額であった。そっちを案内してくれよな!w

bit-traders.hateblo.jp

まとめ
・三井住友の一部の支店は業務を簡略化しており、窓口で現金を扱わない
・日銀本店はジャージにサンダルでウォークインしても破損紙幣の交換をしてくれる